進化と次元と禁忌犯しゃ82・6%賭け

「最初はお約束のクイズいきまーす」
 ユウの虚像が宣言した。
 テレビのクイズ番組ではごくごく普通に見受けられる解答者の座る席が六個用意されていたので、そこに座ればいいのだろう。トリノもトバコもカバコもシャコもケイジロ ...

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「ただいまー。みなさんお待たせだよ」
 開かれた縁側から、懐中電灯を持った制服姿のトリノが姿を現した。居間に集っていた四名の視線が一気に彼女に集中する。照れくさそうに頬をかくと、トリノは靴を脱いで夜風と共に居間にあがってきた。 ...

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 雷山小過島の中央部にある天水訟は、真実はさておき巷では五次元建築物としてまかり通っている。様式美の美しさが称えられるのはもちろんのことだが、天水訟の神髄といえば入り組んだ多次元構造のギミックと、最上階に鎮座されている調停を引き受ける ...

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「アニキ、これはヤバイよ。撤退しよう」
 ケイジロウが冷や汗を流している。足下は平面カニでいっぱいだ。一歩でも足を踏み出すと踏んづけて殺してしまうだろう。これは雷山小過の島民にとって忌むべき行為だ。いつもなら平面カニの群れには ...

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「アニキ。迎えに行けなくてすいません」
 変声期を迎え始めた微妙な少年の声がした。トウヒが声のするほうを注視してみると、制服姿のツーブロ頭の少年が、くぬぎの木を背に座り込み、トウヒに向かって右手を挙げている。
「いや、 ...

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「たぶん電池切れだと思うの」トリノが身体のどこから出してるんだろうという甲高い声で言う。「私もさっきから何回か掛けてみたんだけど繋がらないのよねえ」
 トウヒはまた後でいいかあいや手遅れになっても困るとぶつぶつ呟きながら、腕を ...

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 というわけでまずは洗濯だ。トウヒは修正されたスケジュールを粛々とこなし始める。
 港に入れないと決まってから、今日は一日もふもふカービングに徹すると決めたシャコの洗濯物も一緒にランドリーバスケットに突っ込んで、トウヒは洗濯室 ...

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 新世紀以前、ヒトが四次元視を得る前は、生物はみなすべて三次元の存在で、三次元視が可能であるのが当然のように考えられていた。実際には鞭毛生物の一部には一次元しか知覚できない種も存在するし、深海の海底付近は二次元までしか知覚できない種の ...

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 マフツノカガミの機関部の隣に、各部屋の間取りが余ってしまった二坪ほどのスペースがある。機関部からの壁越しの熱に加えて、動力炉の廃熱パイプを部屋に通すという懲りようで徹底的に室内を高温にしているこの部屋は、その状態で室内の水蒸気を塩化 ...

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 トウヒは落ち着かなかった。マフツノカガミの特等船室はたいそう立派で、自分には部相応だと感じていたからだ。無駄に広いフロアも、壁に飾られた八角獣の剥製も、質素でいて高級感のあるクローゼットも、目に映る各種調度品すべてが不釣り合い極まり ...