青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

「俺はそんな世のなかを少しでも良くしたいと思い、大統領になろうと決意しました。学級委員長を務めるのはその前哨戦です。学園の構造は社会の縮図です。クラスのみんながいつも笑えるように目指すことこそが、すなわち社会を良くすることだと信じてい ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

 舞湖は侵食型のカルデラ湖だ。高い山に囲まれ、そこに普段から凍りついてるとはいえ、水を湛えている湖だ。山々それぞれ高さも景観も異なっていて、そのなかでも特に切り立った崖となっているのが北北西の端であった。観光地としても有名で、途中に樹 ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

みちるは予定通りに四百メートルトラック分くらいの氷と光角粒をほじくり返した後、雁兵が造った光塊を湖の端に移動させる手伝いに回った。雁兵の光塊作成速度の早さは折り紙付きで、この一辺約十二メートルの立方体をここまでの短時間でこしらえられる ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

「結局やめちゃったんだ。まあその選択肢もありだと思うし、おふたりの決断は尊重します」かごめはもう何回も何回も目をぱちくりさせていた。とろんとして腫れぼったい目を無理矢理ぱちくりさせている。不自然なくらいに長いまつげがそのたびに大きく揺 ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

 舞湖のほぼ中央部は岸辺に比べて凪いでいる。周りの山々から流れこんでくる風がぐるぐると湖の周囲をまわり、中央部まで到達した後、互いに打ち消しあってしまうからだ。少し離れると風が強いが、今かつるとみちるが立っている地点はほぼ無風だ。空中 ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

「雁兵、来てくれたのか。おう、瑞翔姫もいるのか。ふっ、これで勝つる」
「お兄ちゃん。学園は行政に都合のいいように洗脳する機関だって、あたしいつも言ってるじゃない。わかっちゃいたけど全然聞いてくれてないのはやっぱり哀しいな」

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

「それじゃあ、よろしくお願いします」
「お願いしまーす」
 かつるとみちるのあいさつを合図にして、ふたたび戦端が開かれた。
 止まっていたヤマゲラ速射砲が雨あられのごとく光角粒を打ち出し始める。
 かつ ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

 しかし、かつるの思惑は大きく外れ、ふたりはちとせが敷いた防衛線をまったく突破することができなかった。
 正面からはヤマゲラたちがくちばしでカタカタカタカタ光角粒を予断なく打ち出しているので、おいそれとは近づけない。回り込もう ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

「ごめちゃんはどうなの?」
「かごめさんも警戒対象に入っているの」ちとせは熟考してリカバリーを試みる。「と言うのは嘘よ。ほら、先週からエイプリールフールでしょ。今日までの嘘はおっけー」
 照れながら両手で小さく丸を作っ ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

 舞湖は周囲十キロメートルほどの湖で、三百年前には透明度が三百メートルに達するほどの綺麗な水を保有し、豊かなプランクトンに魚たち、そして様々な鳥たちの集まる楽園だった。
 それが減光期の到来により終わりを告げる。光断片化した光 ...

青方偏移の三宝鳥 -strong bond between brother and sisters-

 せせりは大きく伸びをして、深呼吸した。
「中緯度での研究は大事ですが、それはこの一色光町でなくてもよかった訳ですからね。それを母が指定したのはきっとわたしを真実に触れさせ、後は自分で考えてみろってことなんだと思います。母が決 ...